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2006/10/16

YOSHITOMO NARA + graf A to Z

ぴんとした姿勢でいたい状況や気持ちがどうであろうとしても


青森県弘前市にある吉井酒造煉瓦倉庫奈良美智さんgrafによる展覧会「A to Z」が開催されています。

先月、休日を利用して行ってきました。

以前は酒倉だった煉瓦倉庫のだだっ広いスペースに、奈良さんの描いたドローイング、彫刻、絵などがめいいっぱい飾られています。

grafはその会場を設営したグループ。インテリアなど空間デザインを手がける人たちです。grafの中でも豊嶋秀樹さんが中心になってAからZまでの小屋を手作りしています。

小屋は極端に狭かったり、大きかったり、長方形だったり、多角形だったり、色々な形態のものがあります。素材も木だけではなくて、布でできたものもあります。それも、grafと奈良さんが地域の人から集めた中古品だったり、物々交換したものだったり、海外から持ってきたものだったり、素敵なエピソードがあって、味わい深いです。

見に来た人たちは、階段を登ったり、トンネルをくぐったり、穴を覗いたり、空間を楽しむのに大忙しです。人が一人入れればいいものもあるし、誰も入れないで覗くだけのところもあるし、数人で楽しめる仕掛けがあるものもあります。

いわば、小さな街ですね。野良猫もいます。

その街には、ところどころに椅子があって休憩することもできます。神様のような彫刻もあり、お祈りだってできるのです。展望台で、街全体を見回すこともできます。夜の海を眺めることもできます。海をデッキから見たり、船から見たりできるんです。かくれんぼしたら楽しそうだなぁって思いました。

ここまで書いたけれど、この展覧会のことはうまく言葉で表現ができないので、ほぼ日の糸井さんと奈良さんの対談の写真を見ていただけるといいですね。

対談の内容もとても興味深いです。というか、この人はどうしてこんなに正確に思っていることを表現できるんだろうか、と思います。文筆家じゃないのに。

さて、話は戻って、色々と素敵だなと思ったことがありましたが、なによりも一番気に入ったのは、明るい工夫が随所に施されている点です。

それは人と人とが出会う工夫です。

一階から梯子を上ると二階にいる人と目がある仕組みとか、同じ作品でも他方向から見ることができて見ている人の姿も作品の一部といえるようなものなど…。

とある場所では、離れた場所にいる赤ちゃんに手をふることもできました。にこにこしてたなぁ。

しかも、この展覧会の作り手自体も奈良さんだけのものではありません。grafのものでもないです。ゲストアーティストがいます。写真家の川内倫子さんや画家の杉戸洋さん、雑誌「H」で掲載されていた漫画家の松本大洋さんなどのコラボレーションを見ることができるんです。

中でもわたしは杉戸さんのお部屋が大好きになってしまって、何回もそこに行きました。順路がおおまかでしか決まっていないので、行ったり来たりできるのがも魅力です。

街はけっして孤独ではなくて、誰かと誰かのやりとりがひとつひとつに含まれているのだな、と改めて思いました。

わたしの住んでいる家の近くにも、野良猫がいて、ベンチがあって、人と人とが偶然すれ違います。そのことを、遠い青森の地から思ったのでした。

わたしはこの展覧会に一人で行きましたが、全然寂しくなんてなかったです。強がりじゃなくて。i-podで美術館ガイドを聴きながら見た、というのもさびしくなかった理由のひとつかもしれないけれど。ここで誰でもダウンロードできます。これを聞けば、行った気になれるかも?

それに、現場にいるガイドの人も随所で話しかけてくれて、見逃しやすいポイントを教えてくれました。
「この椅子に座ったら、あの作品が見れるんですよ」って。
その笑顔ったら、素敵でした。

この展覧会で感じた、人が人と一緒にいるときのあたたかさは、これからのわたしのお守りになってくれるだろう、と思います。

ちょうど先月は自分の周りの人間関係で色々なことがありました。寂しいことだったり、楽しいことだったり、いい意味で、強烈でした。そんな混乱の中での着地点がこの奈良さんの展覧会だったのは幸運なこと。

人間関係の、ウェットでもドライでもない、ちょうどいい関係性。相手を知っているか、愛しているかが基準ではなく、人と人とが関わる「瞬間」の良さ。はなればなれになろうが、くっついていようが、絶対的にある繋がり。

大事なことをようやく知ることができました。まだ知らないことだらけだ、世界は。

短歌は、わたしが奈良さんの描く女の子が好きな理由を表現したものです。ようやく理解できた、わたしが奈良さんの絵を好きな理由です。

Nara1Nara2Nara3


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コメント

こんにちは。一緒にホタルイカ食べたなるちゃんです。
勝手にだけど、よくここにきて短歌に喜んでたんですよ、もっとはやく声かければよかったあ
私の親友がグラフのスタッフの1人なんで、たまに話をききます。私は奈良さんの絵に特に惹かれることはないのだけれども、
彼らのやろうとしてる事や目指すものに、とてもすんなりした意識を感じる ノダよねー
新しいスタイルの芸術をしようとする人たちに時々強引に押しつけようとされてる感じがしたりするときあるけど(それはそれでいいと思うのだけど)そういう感じがしない

人とつながっていた(いる)一瞬という真実、
いろんな事に気づけてよかったね。
今月は元気にすごせそうかな?
だといいです

投稿: なろ | 2006/10/18 14:26

まぁ、5段活用のなるなろちゃんだ!
こんにちは、ご無沙汰しすぎだね。
勝手に来てくれていたなんて全然知らなかった。
こっそり見てくれていただけでも嬉しいけれど、
ついに声をかけてくれてどうもありがとう。
思いがけず記念日でもないのにプレゼントを貰った、
そんな感動がありました。

親友がグラフのスタッフさんなんだね。
それは素敵なお仕事。きっといい働きをしているんだろう。
いいグループにはいい気が流れているものだからね。

奈良さんの目指すところは…、と自分が想像していたことは、
糸井さんと奈良さんのほぼ日での連載にすっかり書いてありました。
美術だけじゃなくて、とても大きな意味で勉強になる対談だよ。
奈良さんのは、とてもしっくりくる道だとわたしも思います。

今回の展覧会の影響もあるけれど、
今は誰かとのやりとりで作品をつくっていくことに興味があって、
始めたばかりの写真コラボもそうだし、
time acid~のサイトの管理人さんとやっている短歌のやりとりも
とっても充実してきました。元気だよ。

なるちゃんも元気で。
またみんなで飲みましょう。年内には!

投稿: ユメギワ | 2006/10/19 15:58

短歌ってすごいのですね。
伝わる。。。し、凛としてる。
うまくいえないのですが、
私にも短歌が作れたらいいのにって思いました。

投稿: pink | 2007/03/12 03:03

pinkさん、はじめまして。

短歌って結構たのしいですよ。
作れたらいいのにと思ったら、
ぜひ作ってみてくださいね。

枡野浩一さんの「かんたん短歌の作り方」と
「ショートソング」は超おすすめですよ。
面白くて分かりやすい短歌入門書です。

投稿: ユメギワ | 2007/03/12 16:20

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月曜日に深夜バスに乗り、 青森駅から弘前までレンタカーで1時間とばして、 奈良美智+graf『A to Z』展を観てきました。 奈良美智+grafの展示というのは、 「絵画」と「展示空間(小屋)」をあわせて「ひとつの作品」 というような展示構成となっています。 小屋も廃材を使... [続きを読む]

受信: 2006/10/18 10:03

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