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2008/02/19

島田雅彦「佳人の奇遇」に出くわして

悪夢だと思っていたが快楽の渦だと見ればそうでもないな


島田雅彦さんの『佳人の奇遇』を読んだ。
装丁が目立っていたので手に取った。
読み終わってから、よくできた装丁だなぁと分かった。
物語と文体にぴったりだもの。

コンサートホールで行われるオペラ「ドン・ジョヴァンニ」を中心軸に、
さまざまな人生模様が描かれてひとつのフィナーレを迎える小説だ。

あがり症のオペラ歌手と元キャバ嬢のマネージャー。
浮気性のマエストロと過去の女性たち。
もてない大学教授と彼にひとめぼれした普通のOL。
明日から浮浪者になると決意した無一文の元サラリーマンと、
偶然再会した株で大儲けしているエリートサラリーマン、
その二人を占う、人気占い師の旧友。
息子の嫁に恋をしてしまった老人とその息子の嫁張本人。
他にも色々なエピソードを持った人物が出てくる。

娯楽小説の様相を呈していて、映画化にもしやすそう。
三谷幸喜監督『THE有頂天ホテル』のように、
コミカルに演出したら面白そうだなぁ。
私は島田雅彦さんの貴族のような文章がつくりだす、
派手且つ品のある世界観が大好きなので、
興奮しながら読んでいった。
だけど、やっぱり終わりは「え?」って感じで、
夢オチかってぐらい陳腐に終わる。
以前『カオスの娘』の記事でもそう書いたのだけど、
終わりに近づくほどライトになって、
余韻に浸ることを許してもらえない。

散々ロマンチックにさせておいてさぁ!!
もてあそばれた女の子みたいな心境だ。
島田雅彦さんこそ、
まるで「ドン・ジョヴァンニ」みたい。

※ドン・ジョヴァンニとは(wikipediaより)
「女たらしの貴族。従者のレポレッロの記録によると
 彼はスペインで、すでに1003人の女性と関係をもったという」

冒頭の短歌は、
「オペラにありそうなセリフじゃない??」
などと思って楽しんでつくりました。

気持ちがいいことばっかり求めると怖い目に遭う。
身もだえするような後悔をする羽目になる。
だけど、たまについ悪夢が見たくなったりする。
おぼれたくなる。その先が真っ暗だと分かるけれど、
敢えて忘れてみたくなる。敢えてやる、自暴自棄。
それが命とりになることがあるけど、
そうしないことが今の自分の命に反するってこともある。

表現が抽象的だけど、そういうことってありますね。
怖いなぁ、怖いぜ。

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