2007/02/08

つながらないつながり

誰かの短歌を読んでみる、その5。

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いま寂しいと感じるのは冬の朝うらの畑に霜があるから
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にょろこさんのお友達、MONさんの短歌です。

この短歌に惹かれたのは、
上の句と下の句が繋がるようで、
繋がらない気がしたからです。

いま寂しいと感じるのは、
冬の朝うらの畑に霜があるから??
いや、そうじゃないんじゃない??
そう、思わせます。

ほんとうは寂しい理由は別にあって、
なんらかの事情で素直に言えないのか。
それとも、霜に自分の想いを重ねているのか。

「霜」が引き出す想像の多いこと!

それが「うらの畑」にある。
部屋か家の階段の途中の小さい窓から、
覗いている様子が浮かぶのはわたしだけかしら。
朝方起き抜けにふっと見つけた感じがします。

惜しいのは57577じゃないこと。
ちょっとした言葉を入れるだけでも引き締まります。


 いま寂しいと感じるのはただ冬の朝うらの畑に霜があるから


「いま寂しいと」は7だけど許容範囲だと思います。
「寂しいと」だと5だからいいんだけど、
「いま」がないと臨場感がないんですよね。
助走や前奏の意味合いで読めばいいと思うんです。

そんな素敵なMONさんの短歌を読んで、
ユメギワ的に書いた短歌です。
エッセンスをもらって書きました。


 なみだ目になっているから玉葱を買いしめてみてカレーをつくろう

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2007/01/17

季節がめぐる

誰かの短歌を読んでみる、その4。

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春の夜桜も
夏の蛍も
秋の夕暮れも
冬の浅間も
全部忘れずにとってあります
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ひさびさに「誰かの短歌」コーナー。
短歌じゃないけど。
ネット仲間のちぇりこさんの5行歌です。

ラストの「全部忘れずにとってあります」
というところにぐっときました。
恋への謙虚さがあって、好きです。

丁寧に写真を貼って、
その下にコメントを添えたアルバムを
引き出しの奥にしまっていて、
見たくなったら取り出して
大事に眺めるような、
そんな恋の謙虚さが見えます。

こんなに素直に、こんな率直な言葉が、
すんなり出てきてしまう。
これがまさに、恋というものなのですか?
(※ひとりごとなので気にしないで!)

ちぇりこさんの歌をうけて、
ユメギワらしく書いてみた、
短歌を残しておきます。


 夜桜も蛍も月も初雪も見れない触れることもできない

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2006/11/29

静かな香り

誰かの短歌を読んでみる、その3。

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知らぬ街 秋風が運んでくれた君の香りはとても静かな
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という短歌をにょろこさんのブログ「空への手紙」で見つけました。
にょろこさんの自作の短歌だそうです。

「香りが静か」という表現がとても美しいですよね。
添えてある写真も深みがあっていいです。

好きな人の後ろを歩いていて、
その人の香水の匂いが秋の風とともにやってくるのに気付く。

その香りはとても静か、とてもほのかで、
分かる人にしかわからないのかもしれない。
自分はその人が好きだから、気付いたのかもしれない。

その香りは、優しい気持ちを産みだす。
気付いた喜びが、じわじわと充満する。

そして、自分の気持ちも静かになる。
あぁ、この人が好きだ・・・。
なんて、しみじみと思ったりして。

「知らぬ街」なのは、
その人が連れて行ってくれた場所だからかな。
その人にとって、とっておきの場所かもしれない。

・・・
こーんな風に、
たった一行にこんな世界が広がっているのです!
素敵ですよね。

まぁ、完全に妄想ですけど、何か問題でも?(@おぎやはぎ)

妄想ができるのが素敵な短歌の証なんです!

ただ、この短歌、57577でないのが気になります。
定型に委ねたら、もっといいものになるような気がします。

例えば


  知らぬ街 君の香りが秋風に運ばれているとても静かに


・・・とするのはどうでしょうか。
「静かに」と変えてみました。
でも、やっぱり「静かな」の方が余韻があるなぁ。


  知らぬ街 秋風とふいに絡まった君の香りはとても静かな


・・・とすると詩的なイメージが広がるように思います。
秋の風と香りが絡み合って届く。
「絡み合う」ってちょっと恋愛のイメージ出ませんか?
58577だから読みにくいですかなぁ。

これは改作の余地がどんどんあると思います!
お時間があったらやってみてくださいね。

最後に、この短歌にインスパイアされて詠んだ短歌をひとつ。
逆に、ちょっと寂しいものになってしまいました。


  コーヒーの香りが黙りこんでゆく「おわり」を話しおわるときまで


冷めたコーヒーはできれば飲みたくないものです。

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2006/06/16

約束

誰かの短歌を読んでみる、その2。

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たわやすく翳る契りなら生きろ我 本の中永久(とわ)の言葉に
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にょろこさんの短歌です。

文語短歌ってすごいですね。
それだけで迫力が出ますね。すごみがある。漢字のすごみですかね。

さて、こちらの短歌の解説は下記です。
ご本人談。
「簡単にかげったり、移ろってしまう約束ならば、移ろいもせず、人を裏切ったりもしない本の言葉の中でのみ生きていったらいいさ、というニュアンス」

そのニュアンス、分からなくもないですね。
でも、わたしはちょっと考え方が違うかなぁ。

「約束は要らないわー、果たされないことなど大嫌いなのぅ」
って椎名林檎さんは歌っていましたね。
歌っていると気持ちがいいんだけれど。

わたしはこう思います。


「約束」は果たされなくて別にいい「約束すること」を果たしたいだけ

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2006/06/09

kanameさんの。

浅野いにおさんで持ちきりではあるのですが、なんとなく、今日から「誰かの短歌を読んでみる」というコーナーを始めます。

その1
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君の笑いかけている先が僕じゃなくても
止めようもなく滲みてくる恋の横顔
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にょろこさんの「写真で綴る徒然日記」に書いていたkanameさんの作品です。

「恋の横顔」というのがいいですよね。
可愛らしい言葉だなぁと思いました。

描かれているスピリットも好きです。
自分に笑いかけてくれなくたって、その人の笑顔はとても素敵なんだと思います。

さて、早速ですが、kanameさんには是非、短歌の入門書である「かんたん短歌の作り方」をご紹介したいです。
誰でも短歌が書けるようになる魔法の本です。
ひとまず枡野さんを師匠にするといいですよ!

この本でも書かれている短歌の基本原則は「定型にはめる」ということです。
57577の波にのるのって気持ちいいですよ。サーフィン。

その点を踏まえてちょっとこちらで考えてみました。

その1:
君の笑いかけてる先は僕じゃない止まらず滲む恋の横顔

最初の5が6になっていますが読んでみて違和感はないのでOKじゃないでしょうか。
でも、意味が繋がらなくなってしまっていますね。

その2:
ぼくじゃないどこかを見てる横顔がひしひしぼくに滲んでしまう

はどうでしょうか。
思い切って「恋の横顔」をやめてみました。
もったいないけど。

これでも「恋」っぽさは残ると思います。
ただ、笑顔でなくなった分、ちょっと悲しい顔を思い起こさせるかもしれませんね。
このときは「僕」を「ぼく」にすると、可愛さが出て、悲しさが弱まるかと思います。

それから「ひしひし」の部分は、通常では使わない言い回しを使うのが楽しいのでやってしまいました。
国語の先生には怒られますね。
怒られましょう。廊下に立たされてしまいましょう。

その3:
僕でないどこかに笑いかけている顔は横顔恋の横顔

…これだとちょっと意味が変わってしまうかしら。
でも「顔」「顔」「顔」が韻を踏んでいて気持ちいいですよね。
短歌はヒップホップなんです。

ふう!誰かの短歌をぐちゃぐちゃにしてしまった!
kanameさん、お許しを!
ぜひ短歌を好きになってくださいね。

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